平成25年12月1日に渋谷ヒカリエで開催された
「白熱宇宙道場!日本と諸外国の国際交流事業」の
様子を紹介します。

本事業は三菱UFJ国際財団の助成を受けて実施しました。
 
中学生と高校生が、アジア15か国の高校生と交流
2013年12月1日、東京の渋谷された。今回の白熱宇宙道場は、「宇宙をテーマに 国際コミュニケーションが体験できるワークショップ」。9名の中学生と高校生が、アジア15か国の高校生とインターネットを使って交流したよ。アジア15か国の高校生は、ベトナムのハノイで開催されているAPRSAF-20「アジア・太平洋地域宇宙機関会議」の水ロケット大会に参加している学生だ。今回の APRSAF-20の参加国は、インド、インドネシア、オーストラリア、カンボジア、タイ、シンガポール、スリランカ、中国、日本、ネパー ル、バングラディシュ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、パキスタンだ。
 
実施日時:平成25年12月1日(日)15:30〜18:00
参加者9名(中学生5名、高校生4名)、保護者4名
 
15:30~ 師範代挨拶
 白熱宇宙道場とは、宇宙を通して幅広い世界観を学び、年齢や国籍を問わず相手を尊重し自らの意見や考えを述べ合うことのできる修業の場、もしくは稽古場です。この道場に参加することによって、指導者としての「世界観」を有する人間となり、将来の日本を担って皆さんが日本人として世界中で活躍することを期待しています。との挨拶がありました。
 
15:35〜 講演

宇宙航空研究開発機構(JAXA)有人宇宙ミッション本部事業推進部 参事 鶴間 陽世 氏より講演と質疑応答。通信放送衛星(電話や放送)や気象衛星(気象情報)、GPS(カーナビ)など、「宇宙はすでに世界の一部」であり「宇宙の国際協力」により成り立っているというお話がありました。そして、夢を抱くことが、現実の科学技術を切り開いていく原動力となり、国際舞台でいろいろな人と協力していくためには、強い情熱や夢がないとできないことや国際協力を考えるときに必要なこととして、コンペティション(競争)とコーポレーション(協力)があり、宇宙開発でも最初は競争ですが、その あとは協力するといったことが大切。人工衛星のデータ利用も月・火星探査も、お互いの協力関係がなければうまく研究できなく、今では宇宙開発はすでに国際協力が前提になっているなど講演をいただきました。

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質疑応答

<生徒>いま火星に生き物はいるのですか。

<講師>いまのところ私が知る限りはいないとされています。状況証

    拠からいえば、いたかもしれないし、深く掘れば出てくるので

    はないか、ともいわれています。

    多くの人が宇宙に生物がいるであろうと考えていて、その宇

    宙の生物を持って帰りたい、生きているものを連れて来たい

    というふうに思っています。そこで最近では、最初に生物を

    採取したら月で研究して、無害であることがわかったら地球

    に持ってこよう、そういう意見もあります。

<生徒>国際宇宙ステーションが2020年以降の計画が決まってなく

    て、JAXAの宇宙飛行士の計画もあまりわかっていないの

    ですが、JAXA内部では、日本人の有人というのは、進めよ

    うと意欲的な感じなのでしょうか。

<講師>Good questionであり非常に難しい問題です。現在いろいろ

    な議論をしているところです。進めたいけれど、宇宙ステー

    ションは終わってしまう。月や火星も、次の計画が決まると

    進めやすいのですが、予算を多くもっているアメリカ内でも

    議論している最中で、なかなか進まないところが皆悩んで

    いるところです。アメリカも、ヨーロッパも、ロシアも、我々も

    悩んでいます。それぞれの国が宇宙飛行士を育てています

    が、私たちが止めるといったら本当に終わってしまいます。

    従って、私個人としては、日本も月・火星へ行くためにこれ

    からも宇宙飛行士は必要という気持ちでおります。

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16:30~ グループディスカッション
 グループごとに自己紹介、何を質問したいか、質問者を誰にするか等を話し合いました。
1) 中学生3名、 2) 高校生4名、 3) 中学生2名
17:00~ Webを通した国際交流
 利用した通信アプリ《FaceTime》は、ビデオ通話ができるため、離れた場所でも映像と音声でかかわることができる機能です。
今回の通信環境は、日本は屋内の有線に対し、ベトナムは屋外の無線を使用していたため、映像が止まったり声が聞こえにくかったりと通信の安定さは十分とはいえない状況でした。
 しかし、直ぐにバックアップとして用意していた国際電話の音声に切替えた対応を講じたことにより、映像の動きと音声が多少一致しなくても電話音声による交流を行うことができました。 普段テレビを見るような感覚で映像と声が一致しない中で緊張した様子も見られましたが、慣れてくると手を振ってみたり、問い掛けにも笑顔で答えたりする姿が見られるようになりました。
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18:15~ 体験発表
【高校生4名】
■コミュニケーションで大切なのは英語をいかにうまく話すかではなくて、
 相手に伝わるように話す「努力」と「笑顔」が大切だと思った。
 会話していた彼らの将来の夢が、「宇宙」と関係ないことが多く意外
 で面白かった。
 ぼくは将来宇宙飛行士になりたいと思っており、英語でコミュニケー
 ションをとるのが 一番大切だと思うので何が一番大切で、どういう会
 話を交わしたらいいかというのを今回考えさせられました。
 ■さまざまな国の人と交信できて良い体験でした。
 ■通信環境が悪くてなかなか繋がらなかったが、相手が英語を話せる
 にしろ、話せないにしろ、相手のことを考えて、わかり易く話すことが
 大切だなと思った。 質問して答えてもらって終わりではなく、自分で
 も知識をつけて、その答えに対して英語で返事ができる
 ように自分でも努力をしていかないといけないと感じた。いい機会を
 提供してくださり有難うございました。
 ■こういうイベントに参加したのは初めてで、英語も苦手で不安でした
 が、一言二言話したことが相手に伝わり、それがすごく嬉しかった。
 宇宙関係の仕事をするなら英語は必須だと知っていたが、なかなか
 うまく伝えることができなく、こういう経験をしてみると
 笑顔やジェスチャーも必要なんだと感じた。私は笑顔は得意な方な
 ので、笑顔でいろいろな話をすることができ楽しかった。
 話題はロケットのことばかりで宇宙の話もしてみたかった。このよう
 な機会をいただけて本当に嬉しかったです。
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18:15~ 体験発表
【中学生5名】
 ■通信環境は良くなかったけれど、会話が通じたことが嬉しかった。
 ■以前「ミッションXロンドン」の国際交流に参加したとき、コミュニ
 ケーションを取れなかったが、今回は学校で英語も勉強したので
 多少話せる自信はあったけれど 発音の違いなど、
よくわからな
 かったりして結構苦戦しました。交信前に話す内容をグループで
 考えたけれど、広く浅くよりも一つの話題を深く話した方がよかっ
 たと思った。そういうことを考えて今後このような機会がまたあっ
 た時にはコミュニケーションをとって いこうと思います。
 ■なかなか英語が通じなかったと思う。なんとか通じて相手が返事
 をしてくれたときにはとても嬉しかった。
 今後も機会があったら参加したいと思った。
 ■自分は英語が得意じゃないけれど、各国の英語に触れることが
 できてよかった。
 これからももっと英語を勉強をして、もっと各国の人とコミュニケー
 ションをとれるようにしたい。
 ■相手の英語がすごく聞きにくく、何度も繰り返し質問しても通じず
 困った。向こうの水ロケット大会の様子や水ロケットの話が聞けて
 嬉しかった。
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18:20~ 講評
 ハノイとのweb交流は、通信状況があまり良くない中で聞き取りにくかったり、英語をうまく話そうとするあまり伝わりにくかったりと苦戦した状況が続きました。参加者から、このような状況でうまく話そうとすることよりどうしたらうまく相手に伝わるか良い経験となった、との感想に対し講師鶴間氏からは、『宇宙と地上の通信状況もまたこのような状態である。」という話がありました。そして、『現在は通信技術も向上しているが、宇宙飛行士もわざと地上との通信状況の悪い中でもきちんと聞き取る訓練をしている。国際交流はまさに自己紹介から始まり、英語をうまく話す人もそうでない人も相手に伝えること、伝わることがコミュニケーションの基本となる。今日みんなはとても貴重な体験をしたと思う。これからも国際交流する機会があればどんどんチャレンジして下さい。』との講評をいただきました。
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