観山正見先生 岐阜聖徳学園大学・学長 国立天文台・元台長 広島県出身、京都大学理学博士。専門は理論天文学。京都大学理学部助手を経て、国立天文台の助教授・教授。2006年から2012年まで国立天文台台長。その後広島大学特任教授を経て、2021年から岐阜聖徳学園大学・同短期大学部の学長になり、現在に至る。主な著書に「宇宙に生命を探せ」(光文社新書)、「宇宙の地図」(朝日新聞社出版)等。 み やましょうけん
月(月齢17.8) 撮影・画像処理:長山省吾 クレジット:国立天文台
月の満ち欠け
上弦の月 撮影・画像処理:長山省吾 クレジット:国立天文台
さそり座(アンタレス付近) 撮影者:福島英雄 クレジット:国立天文台
望遠鏡でみた火星 撮影・画像処理:長山省吾 クレジット:国立天文台 望遠鏡でみた土星 撮影・画像処理:長山省吾 クレジット:国立天文台
天の川と夏の大三角 撮影者:福島英雄、石黒正晃、J. James クレジット:国立天文台
月を見てみよう! 月は、地球から一番近くにある大きな天体(てんたい)です。人間が初めて月に行ったのは、50年以上前のことです。これまでに人類が実際に行ったことのある唯一の「星」でもあります。これから先、日本人も月に行く「アルテミス計画」というゆめのようなプロジェクトもありますよ。 月は、肉眼(目だけ)でも見えます。満月のときには、ウサギがもちをついているような模様が見えるのも楽しいですね。昼間でも月が見えることがありますが、観測(かんそく)には夜がいちばんおすすめです。 月の形はどう変わる? 月の形は毎日少しずつ変わります。三日月→上弦の月(じょうげんのつき/右半分)→満月→下弦の月(かげんのつき/左半分)→新月(しんげつ/見えない)というふうに、約30日でくり返します。これを「月の満ち欠け(みちかけ)」といいます。 月の表面をよく見てみよう! 望遠鏡(ぼうえんきょう)や、倍率の高い双眼鏡(そうがんきょう)があると、月の表面のようすがよく見えます。黒く平らに見えるところは「月の海(うみ)」、丸いへこみは「クレーター」といって、むかし隕石(いんせき)がぶつかったあとです。クレーターは、三日月や半月のときの方が、光と影のさかい目にあらわれて、よく見えますよ。 特別な満月の名前 アメリカの先住民は、毎月の満月に名前をつけていました。たとえば、7月の満月は「バックムーン」といいます。「バック」とはオスのシカのことで、この時期に角(つの)が生えかわるからです。「元気」や「生まれかわり」の意味もあるそうです。 8月の満月は「スタージョンムーン」。これは、アメリカの五大湖(ごだいこ)でチョウザメという魚がたくさんとれる時期だからです。 月といっしょに見える星たち 月は毎日少しずつ空の中を動いていきます。たとえば、6月10日、7月7日、8月4日には、さそり座の赤い一等星(いっとうせい)「アンタレス」の近くに見えます。アンタレスは、太陽の200倍以上も大きな星ですが、とても遠いので、望遠鏡でも赤い点にしか見えません。 7月28日、29日には、月と火星(かせい)が近くに見えます。火星は赤い星で、望遠鏡では丸い形がなんとか見えるかもしれません。 8月になると、夜おそくに月と土星(どせい)が見えます。ふつうは土星のまわりの「環(わ)」が見えますが、今年はちょうど真横になっていて、少し見えにくいです。 夏の夜空を楽しもう! 7月〜9月ごろは、梅雨(つゆ)があけて空が晴れることが多いので、星や月の観測にぴったりの季節です。月といっしょに、「夏の大三角(だいさんかく)」と呼ばれる3つの一等星も見えます。 織姫(おりひめ)星、彦星(ひこぼし)、それからはくちょう座のデネブ。この3つの星が三角の形になって、夏の夜空をかざっています。七夕(たなばた)の日の物語でも知られていますね。2つの星は、天の川(あまのがわ)をはさんで向かい合って光っています。 最後に 夜、外に出て空を見上げてみましょう。 月のようすや星の光を見ていると、 宇宙の広さやふしぎさを、 きっと感じられるはずです!
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